
交通事故に遭い、ケガを負って仕事を休まなければならなくなった場合、多くの人が「収入が減ってしまうのでは?」と不安になるでしょう.
しかし、日本には 「休業補償」 という制度があり、一定の条件を満たせば補償を受けることが可能です。今回は、交通事故による休業補償について詳しく解説します。
休業補償とは?交通事故で仕事を休んだらどうなる?

交通事故でケガをした場合、治療に専念するために 仕事を休む必要が生じることがあります。このとき、休業による収入減を補填するのが 休業補償 です。
交通事故の休業補償には 「自賠責保険による休業損害」 と 「加害者側の任意保険による補償」 の2種類が存在します。
それぞれの違いや補償を受けるための条件を詳しく見ていきましょう。
1. 自賠責保険による休業損害の仕組み

自賠責保険とは?
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、日本で すべての自動車・バイクに加入が義務付けられている保険 です。
被害者救済を目的としており、加害者が支払うべき最低限の補償を行うためのものです。
自賠責保険の休業補償の計算方法
休業損害の上限は、1日あたり6,100円~最大19,000円 となっています。
実際の補償額は、事故前3カ月間の収入をもとに1日あたりの平均収入を計算 し、それに基づいて支給されます。
例えば:
- 事故前3ヶ月の収入合計が90万円(1ヶ月30万円)だった場合
→ 1日あたりの収入は 約1万円 → 休業日数分の補償を受けられる
しかし、上限が19,000円のため、高額所得者はそれ以上の補償は受けられません。
2. 任意保険の休業補償

加害者が加入している任意保険(対人賠償保険)からも、休業補償を受けられる可能性があります。
任意保険では、自賠責保険の上限を超える分について補償を受けられることが多い です。
- 休業損害だけでなく ボーナスの減額分も補償対象 になるケースもある
- 会社員・自営業者・パート・アルバイトなど、すべての職種が対象
- 休業期間中の 社会保険料や税金の負担 についても考慮されることがある
3. 休業補償を受けるための条件

休業補償を受けるには、以下の 3つの条件 を満たしている必要があります。
① 交通事故が原因で仕事を休んでいる
- 仕事を休んだことが 交通事故によるケガが直接の原因であること を証明する必要があります。
- 医師の診断書 で 「安静が必要」「仕事ができない」 などの記載があることが重要です。
② 実際に収入が減ったことを証明できる
- 会社員なら、給与明細や源泉徴収票 を提出することで証明できます。
- 自営業者の場合は、確定申告書や帳簿 などの資料が必要です。
③ 休業期間中も治療を続けている
- 治療を継続していることが条件 となるため、通院記録が重要です。
- 治療を中断すると、「仕事を休む必要がない」と判断される可能性があります。
4. 会社員・自営業・パート・専業主婦の休業補償の違い

会社員(正社員・契約社員)
- 休業補償の対象になりやすい
- 給与明細・休業証明書 で証明できる
- ボーナスの減額分も請求可能 なケースあり
自営業者
- 売上・確定申告書 などを提出し、収入減を証明する必要がある
- 休業補償を受けにくいケースもあるが、しっかりした資料を用意すれば可能
パート・アルバイト
- 収入が減ったことを証明できれば補償を受けられる
- シフト制の場合、勤務予定表 などを証拠として提出するとスムーズ
専業主婦
- 家事労働も労働とみなされるため、補償対象になる
- 1日あたり 6,100円が目安
- 家事ができない期間の診断書が必要
5. 休業補償を受けるための手続き

休業補償を受けるには、以下の書類を用意し、保険会社に提出します。
必要書類
- 休業損害証明書(会社が発行)
- 診断書(医師が発行)
- 給与明細書(事故前3ヶ月分)
- 確定申告書(自営業者の場合)
これらを準備し、保険会社に提出すれば、休業補償の審査が開始されます。
6. 休業補償を受ける際の注意点

- 治療を続けていることが重要!
→ 通院記録がないと補償を受けられない可能性 がある - 事故前の収入が証明できないと補償が難しい
→ 自営業者は特に、確定申告をしっかり行うことが大切 - 保険会社から休業補償を打ち切られる可能性もある
→ 医師と相談しながら、適切な治療計画を立てることが重要
まとめ
交通事故で仕事を休まざるを得ない場合、 休業補償を受けられる可能性が高い ですが、そのためには 適切な証拠書類の提出が必要 です。
- 会社員・自営業・パート・専業主婦も対象
- 交通事故が原因で収入が減少した場合に補償される
- 治療を継続し、収入減を証明できることがポイント
休業補償を受けられるかどうかで 経済的負担が大きく変わる ため、事故に遭ったら 早めに保険会社や弁護士に相談 し、適切な手続きを進めましょう!