
交通事故に遭った後、多くの人が「症状があるのにうまく伝えられない」「後から痛みが出たけど、どう説明すればいいのかわからない」といった悩みを抱えます。
適切に症状を医師に伝えなければ、適切な診断や治療が受けられず、場合によっては補償や後遺障害認定にも影響を及ぼす可能性があります。
今回は、交通事故後に医師へ症状を正確に伝えるためのポイントについて詳しく解説します。
1. なぜ症状を正確に伝えることが重要なのか?

① 適切な診断と治療を受けるため
医師は、患者からの情報をもとに診断を行い、治療方針を決定します。
痛みや違和感を的確に伝えられないと、適切な治療が受けられず、回復が遅れたり、後遺症が残ったりする可能性があります。
② 診断書に正確な情報を記載してもらうため
診断書は、治療を受ける上での基本資料となるだけでなく、保険請求や後遺障害等級認定の重要な証拠となります。
症状がきちんと記録されていないと、事故との因果関係が認められにくくなることがあります。
③ 保険会社や相手方とのトラブルを防ぐため
交通事故の治療費は、自賠責保険や任意保険で補償されます。しかし、症状が診断書に記載されていない場合、「事故とは関係のない痛み」と判断され、治療費が支払われないことがあります。
そのため、後からトラブルにならないよう、初診時からしっかり伝えることが重要です。
2. 医師に症状を適切に伝えるためのポイント

① 事故の状況を正確に伝える
事故の衝撃の強さや体のどの部分に力が加わったかを伝えることで、医師は受傷部位を推測しやすくなります。以下のように具体的に説明すると良いでしょう。
✅ 良い例:
「赤信号で停車中に、後ろから時速50kmほどの速度で追突されました。その際、頭が大きく前後に揺さぶられました。」
❌ 悪い例:
「後ろからぶつけられました。」
事故の状況を具体的に伝えることで、むち打ちや腰痛、打撲の可能性があることが伝わり、適切な診察につながります。
② すべての症状を漏れなく伝える
痛みや違和感がある部位は、すべて伝えましょう。
事故直後はアドレナリンの影響で痛みを感じにくいことがありますが、翌日以降に症状が現れることも多いです。そのため、違和感程度の症状でも医師に伝えておくことが大切です。
✅ 良い例:
「首の後ろがズキズキ痛みます。左肩にも違和感があります。また、腰が重だるい感じがします。」
❌ 悪い例:
「首が少し痛いです。」
また、当日は気にならなかった症状が後日出てくることもあります。その場合、次回の診察時にしっかりと追加で伝えましょう。
③ 痛みの種類や程度を具体的に表現する
痛みの表現が曖昧だと、医師が正確な診断を下しにくくなります。以下のように、具体的な言葉で伝えると良いでしょう。
✅ 良い例:
- 痛みの種類: 「ズキズキする」「ピリピリする」「重だるい」「刺すような痛み」
- 痛みの強さ: 「歩くと痛む」「じっとしていても痛む」「夜眠れないほど痛い」
- 痛む頻度: 「ずっと痛い」「動かしたときだけ痛い」「時間によって痛みが変わる」
❌ 悪い例:
「なんとなく痛い」「ちょっと違和感がある」
痛みの表現が具体的であればあるほど、医師は適切な検査や治療を行いやすくなります。
④ 生活への影響を伝える
事故による症状が日常生活にどのような影響を与えているかも重要な情報です。以下のように伝えると、医師がより詳細な診断を下しやすくなります。
✅ 良い例:
「首が痛くて長時間のデスクワークができません。」
「腰の痛みで歩くのが辛く、家事ができません。」
❌ 悪い例:
「ちょっと不便です。」
日常生活への影響を伝えることで、症状の深刻さを正しく理解してもらいやすくなります。
⑤ 症状の変化も報告する
治療を続ける中で症状に変化があれば、その都度報告しましょう。
「痛みが和らいできた」「新たに別の部位が痛くなった」「以前より悪化している」などの変化は、治療方針を決める上で重要な情報です。
3. まとめ
交通事故後の治療では、医師に適切に症状を伝えることが非常に重要です。
適切な診断・治療を受けるだけでなく、診断書の内容が適切でなければ、補償や後遺障害認定にも影響を及ぼす可能性があります。
医師に症状を伝えるポイントをまとめると以下の通りです。
✅ 事故の状況を具体的に伝える
✅ すべての症状を漏れなく報告する
✅ 痛みの種類や程度を詳しく説明する
✅ 生活への影響を明確に伝える
✅ 症状の変化があれば随時報告する
交通事故に遭った直後は混乱しがちですが、これらのポイントを意識することで、適切な診断・治療を受けることができます。もし症状がうまく伝えられない場合は、事前にメモを作成するのもおすすめです。
事故後の適切な対応が、後の治療や補償のスムーズな進行につながるため、しっかりと準備して医師に相談しましょう。