
交通事故後に医療機関を受診し、診断書を発行してもらうことは、治療を受ける上で重要なステップです。
しかし、診断書の記載内容が自分の自覚症状と異なる場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
この記事では、診断書と自覚症状のズレが生じる原因や、それを修正・訂正する方法について詳しく解説します。
1. 診断書とは?

診断書は、医師が診察の結果を基に作成する正式な書類です。交通事故の場合、この診断書は以下のような場面で使用されます。
- 治療費の請求(加害者側の保険会社へ提出)
- 後遺障害等級認定の申請
- 示談交渉時の証拠として使用
診断書の内容は、医療機関で受診した際の診察結果に基づき、医師が記載するものです。
しかし、診断書の内容が自覚症状と一致しないことがあり、その場合、適切な対応を取らなければ、適切な治療が受けられなくなったり、示談交渉や慰謝料の請求に不利になる可能性があります。
2. 診断書と自覚症状のズレが生じる理由

診断書の内容と自覚症状が異なる理由はいくつか考えられます。
(1) 診察時に十分な説明ができなかった
交通事故直後は、動揺していたり、痛みのある部分を正確に伝えられなかったりすることがあります。その結果、診断書に記載される情報が不十分になってしまうケースがあります。
(2) 事故直後に症状が現れなかった
むち打ち症などの症状は、事故直後には現れず、数日経ってから痛みや違和感を感じることがあります。
しかし、初診時の診断書には「異常なし」と記載されると、後に症状が出ても事故との因果関係を証明するのが難しくなります。
(3) 医師の判断基準による違い
医師は、診察時に患者の訴えを聞きながらも、客観的な所見(レントゲンやMRIの画像診断など)を重視して診断を下します。
そのため、自覚症状があっても、医学的な根拠が乏しいと判断されると、診断書に記載されないことがあります。
(4) 医療機関によって診断基準が異なる
同じ症状でも、医療機関や担当医師によって診断の基準や治療方針が異なることがあります。
ある病院では「捻挫」と診断されたものが、別の病院では「むち打ち症」と診断されることもあります。
3. 診断書の内容を修正・訂正してもらう方法

診断書の内容が自覚症状と合わない場合、適切な手順を踏んで修正を依頼することが重要です。
(1) 再受診して症状を詳しく伝える
診断書を受け取った後、記載内容に納得がいかない場合は、できるだけ早く医療機関を再受診し、医師に現在の症状を詳しく伝えましょう。
その際、次のポイントを意識すると、より適切な診断が受けられる可能性があります。
- 痛みがある部位を正確に伝える
- どのような動作をすると痛みが強まるのか説明する
- 事故後に症状が変化した場合、その経緯を詳細に話す
医師が新たな所見を認めれば、**「診断書の追記」や「追加の診断書の発行」**が可能となる場合があります。
(2) 他の医療機関でセカンドオピニオンを受ける
一つの病院での診断に納得がいかない場合、別の医療機関で診察を受けることも選択肢の一つです。
例えば、整形外科ではレントゲンしか撮らない場合が多いですが、MRI検査ができる病院を受診すれば、より詳細な診断が得られる可能性があります。
(3) 医師に診断書の修正を依頼する
医師によっては、診断書の修正や追加記載を認めない場合もありますが、医師の判断で訂正が可能であれば、診断書の修正を依頼することができます。
この場合、以下のように具体的な証拠を示すとスムーズに対応してもらえる可能性があります。
- 日々の痛みを記録したメモや日記を提出する
- MRIやCTなどの追加検査の結果を基に修正を依頼する
- 保険会社からの対応を考慮し、適切な診断が必要であると説明する
(4) 交通事故に詳しい弁護士に相談する
診断書の記載内容によっては、示談交渉や後遺障害認定の手続きに影響を及ぼす可能性があります。医師に診断書の訂正を断られた場合は、弁護士に相談するのも一つの方法です。
交通事故に詳しい弁護士であれば、どのように医療機関と交渉すればよいかアドバイスをもらえることがあります。
4. 診断書の内容に納得できない場合は早めに行動を!

交通事故後の診断書は、示談交渉や後遺障害認定において非常に重要な書類です。
しかし、診断書の内容が自覚症状と異なる場合、そのまま放置してしまうと、不利な状況になってしまうことがあります。
- できるだけ早く再受診し、医師に症状を詳しく伝える
- セカンドオピニオンを受けて、より詳細な診断を受ける
- 必要であれば、弁護士に相談して適切な対応を取る
これらの対策を講じることで、適切な治療を受け、正当な補償を得ることが可能になります。診断書に違和感を感じたら、遠慮せず医師に相談し、納得のいく治療と補償を受けるための行動を取りましょう。