
交通事故治療における「過剰診療」とは?

交通事故によるケガの治療を受ける際、保険会社とのやり取りで「過剰診療」と判断されるケースがあります。過剰診療とは、必要以上に治療を受けたり、医学的な根拠のない治療が行われたりすることを指します。
このような診療が発覚した場合、保険会社が治療費を支払わず、患者自身が費用を負担しなければならない可能性があります。
しかし、どこからが過剰診療に該当するのかは明確に定められておらず、個々のケースによって判断されます。
では、具体的にどのようなケースが過剰診療と見なされるのか、また、それを回避するためのポイントについて詳しく解説します。
過剰診療と判断されるケース

1. 通院回数や期間が長すぎる
交通事故の治療は、受傷の程度に応じて必要な期間が異なります。
しかし、軽傷であるにもかかわらず長期間の通院を続けた場合、保険会社から「医学的に必要な治療範囲を超えている」と判断されることがあります。
例えば、むち打ち症の場合、多くのケースでは3ヶ月〜6ヶ月程度の治療期間が一般的です。
しかし、それを超えて通院し続けると、「本当に治療が必要なのか?」と疑問を持たれることになります。
2. 一度の診療で受ける治療の内容が過多
1回の診療で受ける施術内容が過剰であると判断されることもあります。
例えば、整骨院や接骨院で長時間の施術を受け続けたり、医師が必要と認めていない施術を行っている場合は、過剰診療と見なされる可能性があります。
特に、電気治療やマッサージなどが長時間にわたる場合や、複数の施術を組み合わせて行う場合は注意が必要です。
こうした治療が必要かどうかを確認するために、医師の意見をもらうことが重要です。
3. 同じ部位の治療を複数の医療機関で受ける
病院と整骨院の両方に通うこと自体は可能ですが、両者で同じ部位に対する治療を並行して行う場合、保険会社から疑問視されることがあります。
例えば、病院で電気治療を受けながら、同じ日に整骨院でも同様の施術を受けると「二重治療」として判断される可能性があります。
二重治療と判断されると、治療費の支払いが認められず、自己負担になってしまうこともあります。
4. 医師の診断と異なる治療を受ける
医師の診断に基づかない治療を受けることも、過剰診療と見なされる可能性があります。
例えば、医師が必要ないと判断した治療を整骨院や接骨院で受け続けた場合、保険会社が「医学的な根拠がない」と判断し、治療費の支払いを拒否することがあります。
そのため、医師としっかり相談し、適切な治療計画を立てることが大切です。
過剰診療と判断されるとどうなる?

過剰診療と判断された場合、主に以下のような問題が発生します。
1. 保険会社が治療費を支払わない
保険会社が「これは過剰診療である」と判断すると、それ以降の治療費が補償されなくなります。
その結果、治療を続けた場合の費用は自己負担となってしまいます。
2. 慰謝料の減額
交通事故の被害者が受け取る慰謝料は、通院日数や治療期間によって決まります。
しかし、過剰診療と判断された場合、慰謝料の算定にも影響を及ぼし、減額される可能性があります。
3. 保険会社とのトラブル
過剰診療をめぐって保険会社とトラブルになることも少なくありません。
特に、保険会社から治療費の打ち切りを通告されるケースでは、交渉が必要になることもあります。
過剰診療と判断されないための対策

1. 医師の指示に従った治療を受ける
最も重要なのは、医師の診断や指示に従った治療を受けることです。
治療の必要性が医師の診断書などで証明されていれば、保険会社に対して適切な治療であると主張しやすくなります。
2. 通院頻度や治療期間を適切に管理する
無理に通院回数を増やしたり、長期間にわたって治療を受け続けたりしないようにしましょう。
症状の回復具合を見ながら、適切なタイミングで治療を終了することが大切です。
3. 施術内容を医師と相談する
整骨院や接骨院で施術を受ける際には、医師と相談しながら適切な内容を選ぶことが重要です。
医学的な根拠に基づく施術であれば、過剰診療と見なされる可能性が低くなります。
4. 保険会社とのやり取りを記録する
治療費の支払いをめぐるトラブルを避けるために、保険会社とのやり取りは記録しておくことをおすすめします。
電話の内容をメモする、メールでのやり取りを保存するなどの対策を取ることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
まとめ
交通事故の治療を受ける際には、過剰診療と判断されないよう注意が必要です。治療費が自己負担にならないよう、医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。
また、保険会社とのトラブルを避けるためにも、治療の必要性を証明できるようにしっかりと記録を残し、通院頻度や施術内容を適切に管理することが求められます。
適切な知識を持ち、納得のいく治療を受けるよう心掛けましょう。