
交通事故に遭った際、ケガの治療のために整骨院や病院に通院することになります。しかし、治療を受け続ける中で「過剰診療」と判断されることがあります。
過剰診療と見なされると、治療費が保険会社に認められず、自己負担になってしまう可能性があります。
では、過剰診療とは何なのか、どのような基準で判断されるのかを詳しく解説します。
1. 過剰診療とは?

過剰診療とは、医学的に必要とは認められない治療や、必要以上に頻繁に行われる治療のことを指します。
交通事故の治療では、患者の症状や経過に応じて適切な治療が求められますが、場合によっては「治療が長すぎる」「頻度が多すぎる」と判断されることがあります。
保険会社は、治療が妥当であるかどうかを厳しくチェックしており、合理的な期間や頻度を超えると、治療費の支払いを打ち切るケースがあります。
2. 過剰診療と判断される基準

2-1. 通院頻度が過剰と判断されるケース
治療開始直後は頻繁に通院が必要な場合もありますが、症状が改善していくにつれて、通院回数が減るのが一般的です。しかし、以下のようなケースでは過剰と判断される可能性があります。
- 症状が軽いにもかかわらず、週に5回以上通院している
- 1回の診療時間が長すぎる(一般的な施術時間は30分~1時間程度)
- 何カ月も同じ頻度で通院し続けている
- 医師の診断に基づかず、整骨院で独自の判断で治療を続けている
2-2. 治療期間が長すぎるケース
交通事故の治療期間は、一般的に3カ月~6カ月が目安とされています。
ただし、症状やケガの重さによっては1年以上かかるケースもあります。しかし、以下のような場合、過剰診療と見なされる可能性が高いです。
- ケガの回復が進んでいるにもかかわらず、長期間通院を続けている
- 医師の診断では完治と判断されたのに、患者の自己判断で治療を続けている
- 慢性的な痛みを理由に、必要以上に治療を続けている
2-3. 診療内容が不適切なケース
交通事故の治療では、一般的に以下のような施術が行われます。
- 電気治療
- 温熱療法
- マッサージ
- 牽引療法
- 鍼灸治療
しかし、以下のような治療が継続されている場合は、保険会社から「過剰」と判断されることがあります。
- 症状と関係のない施術(美容目的の鍼やマッサージなど)
- 効果が医学的に証明されていない治療
- 一度に複数の治療を受けているが、症状が改善していない
3. 過剰診療と判断されるとどうなる?

過剰診療と判断されると、以下のような影響があります。
3-1. 保険会社による治療費の打ち切り
保険会社は、定期的に患者の治療状況を確認しており、「これ以上の治療は不要」と判断した場合、治療費の支払いを打ち切ることがあります。
その結果、治療を続けたい場合は自己負担になってしまう可能性があります。
3-2. 慰謝料の減額
交通事故の慰謝料は、通院回数や治療期間によって決まります。しかし、過剰診療と見なされると、保険会社は通院実績を認めず、慰謝料を減額することがあります。
3-3. 医療機関や整骨院とのトラブル
過剰診療の疑いがあると、保険会社から医療機関や整骨院に問い合わせが入ることがあります。
その結果、「不要な治療を続けている」と判断されると、治療院との関係が悪化する可能性もあります。
4. 過剰診療を防ぐためのポイント

過剰診療と判断されないようにするためには、以下の点に注意しましょう。
4-1. 医師の診断に基づいた治療を受ける
整骨院や接骨院での治療を受ける際も、医師の診断書をもとに適切な治療を受けることが重要です。医師が必要と判断した治療であれば、保険会社も治療費を認めやすくなります。
4-2. 適切な通院頻度を守る
初期段階では頻繁に通院することもありますが、症状が改善してきたら通院間隔を空けるようにしましょう。週に2〜3回程度が適切な通院ペースとされています。
4-3. 治療の目的を明確にする
治療を受ける際は、どのような症状を改善するために施術を受けるのかを明確にしましょう。保険会社が「医学的に必要」と判断しやすくなります。
4-4. 治療の記録を残す
保険会社とのトラブルを避けるためにも、治療の記録を残しておくことが大切です。
- 通院日や治療内容をメモする
- 医師の診断書を保管する
- 保険会社とやり取りした内容を記録する
5. まとめ
交通事故の治療では、適切な診療を受けることが重要ですが、必要以上に長く通院したり、頻繁に通院したりすると「過剰診療」と判断されることがあります。
過剰診療と認定されると、治療費の打ち切りや慰謝料の減額などのリスクがあるため、医師の診断をもとに適切な治療を受けるようにしましょう。
もし治療費の打ち切りに関するトラブルが発生した場合は、保険会社と交渉する前に専門家に相談することをおすすめします。