
交通事故は、身体的なダメージだけでなく、精神的なストレスやトラウマを引き起こすことがあります。
例えば、事故のショックで不安感が強くなったり、運転が怖くなったり、眠れなくなったりするケースも少なくありません。では、こうした精神的な症状も交通事故の補償の対象となるのでしょうか?
本記事では、交通事故による精神的なストレスとその補償について詳しく解説します。
1. 交通事故が引き起こす精神的なストレスとは?

交通事故後に発生する精神的なストレスには、以下のような症状があります。
(1) PTSD(心的外傷後ストレス障害)
交通事故の強い衝撃や恐怖を経験すると、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症することがあります。
これは、事故の記憶がフラッシュバックする、夜中に突然目が覚める、突然動悸がするなどの症状を引き起こします。
(2) 不安障害
事故後に強い不安を感じるようになる人もいます。
特に、再び運転することに恐怖を感じたり、交通量の多い道を避けるようになったりするケースが見られます。
(3) うつ症状
交通事故が原因で仕事や日常生活に影響が出ると、うつ症状が現れることがあります。
慢性的な気分の落ち込み、無気力感、食欲の低下、興味を失うなどの症状が見られることもあります。
(4) 不眠症
交通事故のショックが原因で、不眠症になることもあります。
夜になると事故のシーンを思い出してしまい、なかなか眠れなくなるという人も少なくありません。
2. 精神的なストレスは交通事故の補償対象になるのか?

結論から言うと、精神的なストレスも交通事故の補償対象となる可能性があります。
ただし、そのためには適切な診断書の取得や、症状の継続的な証明が必要になります。
(1) 人身事故として届け出ることが重要
精神的な症状を補償対象とするためには、まず交通事故を「人身事故」として警察に届け出ることが必要です。
物損事故扱いでは、基本的に精神的なストレスに関する補償は認められません。
(2) 医師の診断書が必要
精神的なストレスが補償されるためには、精神科や心療内科で診察を受け、「事故による精神的ストレス」として診断書を発行してもらうことが重要です。
診断書がなければ、保険会社に補償を求めるのは難しくなります。
(3) 後遺障害認定を受ける場合
事故後に長期間精神的な症状が続く場合は、「後遺障害」として認定される可能性もあります。
後遺障害等級認定を受けると、慰謝料や逸失利益(働く能力の喪失に対する補償)を受け取ることができます。
3. 交通事故による精神的ストレスの補償の種類

精神的なストレスに関する補償には、以下のようなものがあります。
(1) 治療費
心療内科や精神科での診察費用、薬代、カウンセリング費用などが補償される場合があります。
(2) 休業補償
事故による精神的ストレスで仕事ができなくなった場合、休業損害として補償を受けることが可能です。
(3) 慰謝料
精神的な苦痛に対する補償として、慰謝料を請求することができます。慰謝料の金額は通院期間や後遺障害等級によって異なります。
(4) 後遺障害慰謝料
症状が長期間続き、後遺障害等級に認定された場合、後遺障害慰謝料が支払われることがあります。
4. 保険会社と補償交渉をする際のポイント

保険会社は、精神的なストレスに関する補償を簡単には認めないことが多いです。
そのため、交渉を有利に進めるためには以下の点に注意が必要です。
(1) 診断書をしっかり取得する
精神的なストレスが交通事故によるものであることを証明するために、心療内科や精神科で診断書をもらいましょう。
(2) 通院記録を残す
精神的な症状が継続していることを証明するため、定期的に通院し、記録を残すことが重要です。
(3) 弁護士に相談する
保険会社との交渉が難航する場合、交通事故専門の弁護士に相談するとスムーズに進むことがあります。
弁護士費用は、弁護士特約がある場合は保険でカバーされることもあります。
5. 交通事故後の精神的なストレスに対処する方法

補償を受けることも大切ですが、何よりも精神的な負担を軽減することが重要です。以下の方法を試してみましょう。
(1) 心療内科やカウンセリングを受ける
事故の影響で精神的なストレスが続く場合は、専門家のサポートを受けることが大切です。
(2) リラックスできる環境を作る
アロマや音楽などを活用し、リラックスできる環境を整えることで、ストレスを和らげることができます。
(3) 運動を取り入れる
軽い運動をすることで、ストレスホルモンが減少し、気分が落ち着くことが知られています。
(4) 家族や友人に相談する
一人で抱え込まず、信頼できる人に話すことで気持ちが軽くなることもあります。
まとめ
交通事故による精神的なストレスも、適切な手続きを踏めば補償の対象となります。
ただし、補償を受けるためには、医師の診断書を取得し、通院記録を残すことが重要です。保険会社との交渉が難しい場合は、弁護士に相談するのも一つの方法です。
事故後の精神的な負担を軽減し、適切な補償を受けるために、正しい知識を持ち、冷静に対応していきましょう。