
交通事故に遭った後、痛みや不調を感じたとき、それが 事故によるものなのか、それとも元々の持病や既往症が悪化しただけなのか 判断が難しいことがあります。
特に保険会社とのやり取りや、適切な治療を受けるためには、この違いを明確にすることが重要です。
本記事では、交通事故による症状と既往症を区別する方法や、注意すべきポイントを詳しく解説します。
1. 既往症とは?

既往症(きおうしょう) とは、過去に診断された病気やケガ、慢性的な疾患を指します。例えば、以下のような症状が該当します。
- 慢性的な腰痛やヘルニア
- 首や肩のこり・痛み
- 関節炎やリウマチ
- 頭痛やめまい
- 神経痛やしびれ
これらは事故前から存在していたものであり、交通事故によって新たに発生したものとは異なります。
2. 交通事故による新しい症状とは?

交通事故後に初めて発症した、もしくは明らかに悪化した症状を 「新しい症状」 といいます。交通事故が原因で発生することが多いのは、以下のような症状です。
✅ むち打ち症(頚椎捻挫)
事故の衝撃で首がムチのようにしなることで発生する症状です。
- 首の痛みや動かしにくさ
- 頭痛やめまい
- 肩こり・腕のしびれ
- 倦怠感
✅ 腰痛・背中の痛み
追突事故などで強い衝撃を受けると、腰や背中にダメージが蓄積されることがあります。
✅ 打撲や骨折・捻挫
事故の衝撃で体の一部を強く打ち付けた場合、皮下出血や腫れが見られます。
✅ 神経症状(手足のしびれ・麻痺)
事故の影響で神経が圧迫されることで発生することがあります。
3. 既往症と交通事故の症状を見極める方法

既往症と事故による症状を区別するために、以下のポイントをチェックしましょう。
① 事故前の状態を振り返る
交通事故に遭う前に 痛みや違和感があったかどうか を思い出してください。
- 事故前にはなかった新しい痛みか?
- 既存の痛みが急激に悪化したのか?
例えば、もともと軽度の腰痛があったが、事故後に 急に歩けなくなった場合 は、事故による影響と考えられます。
② 事故の衝撃と症状の関連性を確認
事故の衝撃が どの部分に加わったのか に注目しましょう。
- 追突事故なら首や背中のむち打ちが多い
- 側面衝突なら腰や肋骨に影響が出やすい
- 転倒した場合は手や膝の打撲が起こりやすい
このように、事故の状況と症状が合致する場合は、事故による新しいケガ である可能性が高いです。
③ 医師にしっかり説明する
診察の際に、事故前の症状と事故後の変化を医師にしっかり伝えましょう。
- 「以前から腰痛はありましたが、事故後に歩くのもつらいほど悪化しました。」
- 「事故前は首の違和感はなかったのに、事故後に動かしにくくなりました。」
このように伝えることで、医師も 事故による新たな症状かどうか を判断しやすくなります。
④ 検査を受ける(MRI・CT・レントゲン)
既往症か事故の影響かを明確にするために、精密検査を受ける のも重要です。
- レントゲン → 骨折や異常の有無
- MRI・CT → 筋肉や神経のダメージ確認
特に むち打ち症や神経系の損傷はレントゲンでは映らない ことがあるため、必要に応じてMRI検査を受けましょう。
4. 既往症があると保険金が下りない?

「既往症があると、保険金が支払われないのでは?」という不安を持つ方も多いですが、必ずしもそうではありません。
✅ 事故による悪化は補償の対象
たとえ 既往症があっても、事故の影響で症状が悪化した場合は補償の対象 となることがあります。
例えば、
- 元々軽い腰痛があったが、事故後に日常生活が困難になった
- 軽い頭痛があったが、事故後に毎日ひどい頭痛に悩まされるようになった
このようなケースでは、 事故による「症状の増悪」 と認められ、治療費や慰謝料の対象となります。
5. 交通事故後に気をつけるべきポイント

最後に、事故後の対応で重要なポイントをまとめます。
✔ 事故後すぐに医療機関を受診する
✔ 症状を詳細に医師に伝える(事故前後の変化)
✔ MRIやCTで精密検査を受ける
✔ 保険会社とのやり取りは慎重に進める
既往症があるからといって 適切な治療を受けられないわけではありません。
交通事故後は どのような症状が新たに発生し、どの程度悪化したのか を明確にすることが重要です。
まとめ
- 既往症 とは、事故前からあった症状
- 事故後の新しい症状 かどうかを見極めるには、事故の状況や発症時期を確認
- MRIやCTなどの検査で医学的に証明することが大切
- 事故で既往症が悪化した場合も、適切に申請すれば補償を受けられる
交通事故に遭った際は、焦らず しっかりと医師と相談しながら適切な治療 を受けましょう。