
交通事故に遭った後、適切な治療を受けるためには医師の診断書が必要です。
診断書は、交通事故の被害者がどのような怪我を負ったのか、治療の必要性、そして今後の回復見込みについて記載される重要な書類です。診断書の内容は、治療の継続や損害賠償請求にも影響を与えるため、適切に記載してもらうことが重要です。
今回は、交通事故後の診断書にどのような情報を記載してもらうべきかについて詳しく解説します。
1. 診断書とは?なぜ必要なのか?

診断書は、医師が患者の健康状態を公式に証明するための書類であり、特に交通事故のケースでは以下のような目的で必要になります。
① 治療の正当性を証明する
診断書には、負傷の種類や程度が記載されるため、事故による怪我がどのようなものであるかを証明できます。
これは、保険会社との交渉においても重要な資料になります。
② 損害賠償請求の証拠となる
診断書は、加害者側の保険会社に治療費を請求する際の基礎資料となります。
また、慰謝料や休業補償の計算にも影響を与えます。
③ 後遺障害認定の判断材料となる
事故による怪我が後遺症として残る可能性がある場合、適切な補償を受けるためには診断書が必要です。
後遺障害等級認定を受ける際の重要な資料にもなります。
2. 診断書には何が記載されるべきか?

診断書には以下の情報が記載される必要があります。
① 負傷の内容(傷病名)
診断書には、事故によって生じた具体的な負傷内容(例:むち打ち症、骨折、打撲、捻挫、神経損傷など)が記載されます。
診断名が曖昧だと、治療の必要性が疑われる場合があるため、正確な診断を受けることが重要です。
② 負傷の部位
「右肩の捻挫」「腰部の打撲」など、負傷した部位を明確に記載してもらいましょう。
特に、むち打ち症などは症状が後から現れることもあるため、事故当初の診察で違和感がある部位は全て伝えておくことが大切です。
③ 負傷の程度
「軽傷」「重傷」「全治○週間」など、怪我の程度も診断書に記載されます。
この記載内容によって、治療期間や休業補償の額が変わる可能性があります。
④ 全治までの期間
「全治2週間」などの記載は、保険会社が治療費をどの程度負担するかの判断材料になります。
ただし、実際の治療期間は症状によって変わるため、医師に「経過を見ながら再評価してもらう」ことをお願いすると良いでしょう。
⑤ 後遺症の可能性
診断書には「今後後遺症が残る可能性があるかどうか」も記載されることがあります。
後遺障害認定を受けるためには、この部分の記載が重要になります。
⑥ 通院の必要性
「今後の通院が必要である」「リハビリを行う必要がある」などの記載があると、継続的な治療の正当性が認められやすくなります。
3. 診断書をもらう際の注意点

① 初診時にしっかり症状を伝える
事故直後はアドレナリンが分泌されており、痛みを感じにくいことがあります。
しかし、後から痛みや違和感が出てくるケースも少なくありません。初診時に気になる症状があれば、すべて医師に伝えましょう。
② 医師に診断書の内容を確認する
診断書を受け取ったら、記載内容を確認し、間違いや不足がないかチェックしましょう。
特に「負傷の部位」「傷病名」「全治期間」などは、後々の保険請求や損害賠償に影響するため、慎重に確認が必要です。
③ 軽症と判断された場合でも適切な治療を受ける
むち打ち症や神経痛は、レントゲンでは異常が見つからないこともあります。
そのため、「異常なし」と診断されても、痛みが続く場合は他の医療機関で再診を受けることを検討しましょう。
④ 診断書は複数枚取得可能か確認する
診断書は、警察に提出するもの(人身事故として扱う場合)と、保険会社へ提出するものの2種類が必要になることがあります。
発行時にどのような用途に使うかを伝え、複数枚発行してもらうことも検討しましょう。
4. 診断書を適切に活用する方法

① 保険会社に迅速に提出する
診断書は、治療費の請求や損害賠償請求に必要です。
保険会社からの対応が遅れないよう、早めに提出しましょう。
② 警察に提出する
交通事故を人身事故として扱うためには、警察に診断書を提出する必要があります。
物損事故のままだと、治療費や慰謝料の請求が難しくなるため、適切に対応しましょう。
③ 診断書の内容をもとに、治療を継続する
診断書に記載された内容を参考に、適切な治療を継続することが重要です。
痛みが続く場合は、追加で診断書を取得し、治療の正当性を証明できるようにしましょう。
まとめ
交通事故後の診断書は、治療の正当性を証明し、適切な補償を受けるために欠かせない書類です。
診断書には「負傷の内容」「部位」「全治期間」「通院の必要性」など、詳細な情報を正しく記載してもらうことが重要です。
診断書の内容が不十分だったり、誤った情報が記載されていると、適正な補償が受けられなくなる可能性もあるため、慎重に確認しましょう。
交通事故に遭った際には、適切な診断書を取得し、自分の権利を守るための行動をとることが大切です。