事故後ケア

交通事故の「症状固定」とは?治療を続けるべきかどうかの判断基準

交通事故によるケガの治療を続けていると、保険会社や医師から「そろそろ症状固定ですね」と言われることがあります。

しかし、「症状固定とは何なのか?」「まだ痛みがあるのに治療をやめるべきなのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。

この記事では、症状固定の意味や判断基準、治療を続けるべきかどうかのポイントを詳しく解説します。交通事故の被害に遭い、現在治療中の方は、ぜひ参考にしてください。


1. 症状固定とは?

医療の観点からの症状固定

「症状固定(しょうじょうこてい)」とは、治療を続けても大幅な改善が見込めない状態のことを指します。

つまり、これ以上の回復が期待できないため、治療を続けても根本的な変化はないと判断されるタイミングです。

交通事故によるむち打ちや骨折、打撲、神経損傷などの症状は、一般的に数週間から数か月の治療期間を要します。

しかし、一定期間が経過しても痛みや違和感が完全には消えず、それでも医師が「これ以上は大きな回復は期待できない」と判断した場合、症状固定とされるのです。

保険会社の観点からの症状固定

保険会社が症状固定を求めるのは、治療費の支払いを終了させるためです。

交通事故の治療費は通常、加害者側の保険会社が負担します。しかし、保険会社としては無期限に治療費を支払うわけにはいきません。そのため、一定期間が経過すると、「症状固定」として治療費の支払いを打ち切ろうとするのです。


2. 症状固定の判断基準

症状固定とされるタイミングは個人差がありますが、一般的に以下のような基準で判断されます。

① 治療を続けても大きな回復が見込めない

医師の診察やリハビリを続けても、明らかに回復が停滞している場合、症状固定とされることが多いです。例えば、

  • 事故後6か月以上治療を受けても痛みやしびれが残っている
  • 3か月以上経過しても症状の変化がほとんどない
  • 病院の検査で異常が見つからないが、自覚症状は続いている

このような場合、医師が「これ以上の改善は見込めない」と判断することがあります。

② 医師の診断

医師が診察を行い、「治療を継続しても回復が見込めない」と判断した場合、症状固定とされます。

しかし、医師によって診断が異なることもあるため、納得できない場合はセカンドオピニオンを求めることも可能です。

③ 保険会社の判断

保険会社は「治療期間が一定以上に達したか」を基準に、症状固定を促すケースがあります。

むち打ちの場合、3〜6か月程度が目安とされることが多く、これを過ぎると保険会社から「そろそろ症状固定では?」と打診されることが増えます。


3. 症状固定後も治療を続けるべきか?

治療費の自己負担になるが治療は可能

症状固定と判断された後も、治療を継続することは可能です。

しかし、保険会社が治療費を負担しなくなるため、以降の治療費は自己負担になる点に注意が必要です。

例えば、整体や接骨院での施術を続ける、リハビリを継続する、定期的に医師の診察を受けるなどの選択肢があります。痛みやしびれが完全に消えない場合、症状を和らげるために治療を継続することも検討しましょう。

後遺障害の認定を受ける

症状固定後も後遺症が残る場合、「後遺障害認定」を申請することで、後遺障害慰謝料や逸失利益の補償を受けられる可能性があります。

後遺障害認定を受けるには、症状固定後に医師の診断書を取得し、損害保険料率算出機構に申請する必要があります。

後遺障害認定のポイント

  • 神経症状が残る(しびれ・痛み・運動制限など)
  • 日常生活や仕事に支障がある
  • 医師の診断書に「後遺障害」と記載される

このような場合、後遺障害の等級認定を受けることで、一定の賠償金を受け取ることができます。


4. 症状固定を促されたときの対処法

① 医師とよく相談する

保険会社から症状固定を求められた場合でも、まずは医師とよく相談しましょう。

もし「まだ治療が必要」と判断される場合、診断書に「継続的な治療が必要」と記載してもらうことで、保険会社に治療費の継続を交渉できる場合があります。

② 保険会社と交渉する

保険会社が一方的に「症状固定だから治療費の支払いを終了する」と主張しても、必ずしも従う必要はありません。

必要であれば、弁護士に相談して交渉を進めるのも一つの方法です。

③ セカンドオピニオンを受ける

症状固定の診断に納得できない場合、別の医療機関でセカンドオピニオンを受けることも可能です。

他の医師の意見を聞くことで、治療を続けるべきかどうかの判断材料になります。


5. まとめ

交通事故の治療において「症状固定」は重要なポイントです。

症状固定とされると治療費の支払いが打ち切られるため、本当に治療を終了すべきかどうか慎重に判断することが大切です。

症状固定とは、治療を続けても大きな改善が見込めない状態
医師の診断や保険会社の判断で決まることが多い
治療を続けることは可能だが、自己負担になる
後遺障害認定を申請することで補償を受けられる可能性も
症状固定を求められたら医師や保険会社と慎重に交渉することが大切

交通事故後の治療でお悩みの方は、納得のいく形で治療を続けるかどうかを判断し、必要に応じて専門家に相談しましょう。

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